JR中央線の改修復旧の遅れから起きた一連の事故から思った事ですが。
「危機管理(Risk management)」 が”危機を予め回避する為の手段”としてマニュアル化され過ぎてしまった為、『本当に危機が起きた時の対処能力・思考判断』が出来なくなってしまっている人・組織が今の日本には非常に増えてきてしまっているのではないか、という疑問。
先日の北海道の地震の際も、津波警報が出ているのにも関わらず児童を海岸に写生に連れてゆき、沿岸警備から”津波の可能性があり危険だから離れろ”と放送を受けたのにも関わらず、引率の教師は「(海を見た感じで)大丈夫だと思った」という判断で写生授業を続けさせたという。 ここでこの教師に決定的に欠けているのは、”津波が起こるか起こらないかの判断が出来る程の自然観察能力(もしくは経験値)”が無いのに全く無自覚な点だと思う。 その上で自分が今まで見てきた海と様子がさほど変わらない事から”大丈夫”と判断を下す訳だが、そこには『自分の経験を越える予想外の事態が起こる可能性』への考慮がはなからまるで無い。
夏場に、颱風で河川が増水しているにも関わらず河川敷で花火大会を決行した結果、中州に花火師達が取り残される事故があったが(実は私の在所から2kmと離れていない所で起きた事故だった)、この時は主催者側の「祭事を予定通り実行する」事に執着した結果の判断欠如が起こっている。(花火師達は皆危険を感じ中止を求めたのだが、その声を無視して決行したのだそうだ。「他人を危険に晒してしまう」事に対しての鈍感さもここには感じる。ついでに、その日の夕方から夜にかけての増水の仕方は相当激しく、河川敷にい続ける事が非常に危険だと誰にでも分かる程だった事を付け加えておく)
中央線の事故にしても、復旧の遅れの最大の原因は「運行を再開させる事を最優先に復旧作業を進めなかった事」と「元々の配線設計図自体に誤りがあった事」だと言われている。その上に、更に現場作業レベルでのケアレスなミスが幾つも重なった上であれだけの混乱を招く事故へと発展していった事は、その後の報道で仔細に伝えられている。
これらの事件に全て共通しているのは、「本来起こる事を防がなければいけない事態・本来(災害等危機が起きた時に)守らなければいけないものは何なのか」という最も基本的な判断を誤っている事だ。 そこには『組織の利益・論理を最優先させる事』を常に最優先させた結果、組織内でリスクヘッジが出来ずモラルハザードがどんどん進行していく・・・・今の日本社会全体あらゆる所でそうした事態が進行しているような気がしてならない。
「”最低限の規則や義務を果たしているからいい”という『無責任さ』」が、今の日本全体を、個人・組織を覆っているとしたらそら恐ろしい事だと思う
後記:この文章を書いた後に『先見日記』でしりあがり寿氏が見事に絵で表現されていました。もう、まさに同感、という感じです。脱帽。
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