CMカット機能「著作権法違反も」 日枝・民放連会長(asahi.com )
11/13冒頭追記:
よくよく考えてみれば「同一性保持権」とか「”編集”という行為の創作性」なんて観点で考える事自体”相手(この場合民放連ね)のレトリックの土俵”にそのまま乗っかって戦ってしまうバカバカしさ”がある訳で、もっと本質的な部分・・・・”視聴率”とか”広告効果測定”とか長年 TV業界や広告業界が(クライアントに対して)見せてきた”幻想”がどんどん崩壊しつつあって、地上波デジタル放送なんかが始まってHD録画型視聴が更に定着していけばそれはより顕著になっていくような現在の状況にあって「”幻想”を成立させてきたロジック」を『著作権』を持ち出して維持しよう、って発想が明らかに世の流れに逆行してる、というか誰が考えたって”そりゃ無理でしょ”という事は分かる事であって。
”視聴の多様化に合わせた新しいビジネスモデル”とか”より実効的な広告効果”をちゃんと真面目に考えて構築していかない事には、視聴者からもクライアント企業からもソッポを向かれていくだけであって、その事をTV業界、広告業界自体が自覚しない事にはこの先ダメになっていくばかりだろうけど。
日枝久・日本民間放送連盟会長(フジテレビジョン会長)は12日の記者会見で、DVD録画再生機を使ってCMや見たくない場面を飛ばして番組を録画・再生することが、「著作権法に違反する可能性もある」と述べた。電機メーカーなどに何らかの対応を求められないかを検討するため、民放連で研究部会を設けた。
高性能のDVD録画再生機は、見たくない部分を自在に飛ばす「編集」ができ、CMカットも容易に出来る。日枝会長は「放送は1時間すべてが著作物と考える学者もいる。いろんな問題を含んでいる」と語った。

少なくとも、シナリオやコンテの作成中や撮影中に(何が挿入されるかその時点では分からない)CFまで念頭に入れて制作を進める制作者は(特殊な規格を除き)ほとんどいないはずだ。
「放送は1時間すべてが著作物」ならば、私的にCFをカットする行為さえ”著作権侵害”に当たるはずだが、番組本体とCFとの関係性が「ほとんど見受けられない」放送がほとんどなのだから、これはあくまで放送業界と家電業界での利害調整の中で行われるべき事であって”著作権”を持ち出すべきではないだろう。
(逆に、”時間軸での連接の恣意性”に対して著作権が認められるのであれば、全てのDJ mixはオリジナル曲の著作権云々に関わらず「独立した著作物」と看做して解放されるべきであろう。)
しかし「ビジネスモデルが破たんしつつあるコンテンツ業界」が”著作権”を持ち出して利益確保に当たるというのはもう常識なんですかね? (苦笑)
12/19追記:
ASAHIパソコン12/15号の記事でこの問題が取り上げられていたようです。
著作権制度の普及を目的に設立された社団法人著作権情報センターは「放送事業者に著作隣接権はあるが、放送を複製したり、再放送したりという権利であり、同一性保持権はない」とする。「私的使用のための複製は一部の例外を除いて、著作権法第30条で認められている。本の必要な部分だけをコピーしても問題がないように、CMを飛ばして録画・再生しても問題はなく、それを可能にする機械も問題ない。私的使用以外の録画は放送事業者の複製権を侵すことになり、同一性保持権を持つ持たない以前の問題になる」
著作権に詳しい壇俊光弁護士も「著作権侵害というためには、少なくとも、CMと番組が一体といえる必要があるが、解釈に無理がある。CMを飛ばす機能が著作権侵害になるのであれば、著作権法が利用者にCMを見ることを強制することになり、むしろ憲法上の人権侵害となる疑いがある」と手厳しい。
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