雑誌の花形と言われる女性誌。7日、新たに3誌が創刊される。この分野の雑誌が3誌同時に誕生するのは83年以来24年ぶり。雑誌不振が続く中、久々の前向きの話題といえそうだ。 創刊されるのは、20代後半向けファッション誌「AneCan」=写真右上=(小学館、発行部数30万部)、30代後半〜40代向けファッション誌「marisol」=写真左=(集英社、約14万部)、40代向けライフスタイル誌「GRACE」=写真右下=(世界文化社、約10万部)で、いずれも月刊誌。
”雑誌というのは、最も安上がりに沢山の夢を見せることの出来るメディア”とは、昔マ○ジンハウスの某有名編集長から聞いたコトバだけれど、その「夢を見せる力」が相対的に弱まってしまってきていることが「雑誌の衰退」の最も大きな要因だろうと思う。
「LEON」「NIKITA」が現在成功しているのも、そうした現状をふまえた上で、馬鹿馬鹿しいまでに振り切れて魅せることで「突っ込みどころ満載の笑いの後に生まれる憧れ」の創出に成功しているからだと思う。「チョイ悪」というオブラートをクッションに、2ランク位上のライフスタイルを魅せきってしまう手腕は、やはり生半では出来ない振り切れ方だとは思う。

上リンクのニュース記事3誌はいずれも”フィクショナルな憧れ創出”よりも「今の自分より少し上のスタイル」を、年代別にアプローチしていった場合の典型例的な編集方針が読んで取れて、その事が各々のwebサイトに如実に顕われているように思えたので、ひとつひとつ紹介しながら短い感想など書いてみます。
●AneCan★TV
雑誌は通常、対象年齢層を決めて読者はどんどん入れ替わっていくものという戦略を取るが、それとは逆に「読者と共に歳を取っていく」というアプローチもあって後者の典型のような編集方針。サイト全体はプロモーションサイトに近いコンテンツ。バナーの提供があったりするのが今日的か。
●マリソル/s-woman.net
3誌の中では最も「情報ポータルサイト」的なつくり。それもそのはず、集英社が展開する
s-woman.netの1セクションという位置づけ。アチコチ読んでみて色々面白いのはここかも知れないけれど、雑誌掲載内容との連動は少ない。
会員登録による囲い込みを実施している。また、最新情報告知のティッカーも配布している。
●GRACE ONLINE
3誌の中では最も情報量が少なく、「実際の紙面のサンプル紹介」に徹している。メルマガはプレゼント&イベント情報への誘因を主目的としている。
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出版科学研究所の村上達彦研究員は、「女性誌で活気があるのは20代向けまでで、30代以上の読者を誘導できていない。3誌の成否は今後の女性誌を占う試金石になるのでは」と話している。 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
年齢層が高くなる分だけ「情報鮮度の競争」をWebと戦わなくてもいい分まだまだ「雑誌メディア」に分があるジャンルの筈なのだが、それでも今までうまくいっていないのはこの年代層に対する「ライフスタイル提案」の難しさにあるのだと思う。徹底して実用に走るかフィクショナルな方向にいくかどちらかの雑誌が成功を収めていると思うが、その両方を包括して見れるような視野の広さを持った名編集者と呼べるような人はなかなか現れないし、またそうした天才的編集者を持ってしても「年齢を経ていく程多様化していく価値観」の全てを俯瞰することは不可能だろう。
こうして考えていくと、高年齢層向け雑誌程、コンテンツの切り売り→「読者が自ら読みたい記事を構成・編集して情報を購入」するようなCGM的アプローチがあっても良さそうに思えてくるが、果たしてどうだろうか? それともそうした役割は、既に雑誌出版社が担う事を期待してはいけない領域になってきてしまっているのだろうか?
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