漆器製造販売の坂本乙造商店(福島県会津若松市、坂本朝夫社長)は、組み立て式和室「箱家」を首都圏など洋室中心のマンション用に発売した。(中略)「箱家」は間口約231センチ、奥行き238センチ、高さ217センチで広さは約3畳。アラスカヒノキを使い、総重量は約225キログラム。クギやネジを使用せず2人なら約1時間で組み立てられる。3面は障子とし、船底天井からの柔らかな照明で室内は落ち着いた雰囲気だ
今朝NIKKEI NETに掲載されたニュース。「組み立て式和室が発売された」というニュースだけだったら”ふぅ〜ん、ほぉ〜”で終わっていたのだけれど、”坂本乙造商店”という会社名にどこか聞き覚えがあったのが気になって、後で調べてみようと思っていた話題。 で調べてみると・・・・
●坂本乙造商店
・・凄く面白い会社さんですね。「伝統工芸である漆工芸を現代に活かす」ことをポリシーに、
さまざまなモダンなプロダクツを世に送り出していて、中には
ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションに選出されたものもあります。
また、各種工業デザインや建築デザインとのコラボレーションにも盛んに取り組んでいて、最近の事例で言えば
LUMIXの漆モデルや
p901〜p903i用カスタムジャケットの製造などがよく知られているところだと思います。
そうした会社が『組立式和室』まで手掛けることになったいきさつというかモチベーションはある程度推察できるように思います。・・・・建築空間とのコラボレートの中で生まれた欲求もしくは要請、「和のしつらえ」を追求する中で”世界観”をトータルに提示できる(自社プロダクツが最大に活きる)空間創出の欲求、現代的な「茶室」=”おもてなしの空間”の創造、などなど。
価格は199万5000円と決して安くは無いですがそれでもマンションリフォームにかかる金額と比べたら安いと言えます。ただ、日本のマンションの間取りは大概LDKに隣接する形で和室が設置されており、「和室を潰してLDKを広くする」リフォームの方が遥かに多い事を考えると、やはり主は海外(富裕層)向けなのだと思います。 また、組み立て-分解が容易且つ繰り返し可能で尚且つ搬送が出来るのであるものであれば『イベント用ブース』としての需要もあると思います。 ・・・空間プロデュースとかイベントプランニングを生業とされている方だったら、そういう方向でプランを乙造商店サンに相談されるのもまた面白いかな、と思います。
いずれデザイン系メディア/建築・インテリア系雑誌で”開発秘話”が特集されることがあるかも知れませんが、その時が楽しみです。だってそりゃ(端から見てる分には絶対気付かないような)モチベーションとかキッカケとかこだわりとか裏話とかいっぱいいっぱ〜いあるに違いないんですから、ね!
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