ジェームズ ラブロック氏の言葉の質は養老孟司氏のそれとよく似ていると思う。「厳しさを伴った明晰さ」とでも形容したらいいのだろうか。 「地球そのもの」「人間そのもの」に触れ続けた人達ならではの凄みを感じる。
本書の内容は衝撃的だ。CO2の増加による温暖化が『もはや手遅れとも言える領域に突入しつつある』とし、それを少しでも食い止める為には化石燃料をより安全なエネルギー源に切り替えると共に、人類の文明活動全体の「持続的な撤退」を行っていかなければならないと、ガイア理論の視点から公汎なデータを紐解きながら地球環境について警鐘を鳴らしている。
(温暖化から起こる気候変動や生態系の破綻のプロセスを描いた前半部だけでもかなりの読みごたえがあると思います)
本書の中で少し「あれっ?」というか少なからず抵抗感があったのは「温暖化を食い止める為には化石燃料よりも原子力のエネルギー利用の促進を」という部分。・・・・・かのグリーンピースの創設者が温暖化対策に原子力発電の促進を、と発言したり原子力産業に復興の兆しがあったりとのパラダイムの変換を感じるようなニュースは幾つかあったのだけれど、しかし原発は出来れば否定したい心情の人間にとって、「温暖化危機と原発のリスクの双方を比較したうえで、より好ましい結果をもたらすほうを選択しなければならない」という問いを突き付けられた気がして、これもまた”21世紀初頭の地球の厳しい現実”を見せつけられたように思う。
ジェームズ ラブロック関連リンク
●ジェームズ・ラブロック/リン・マーグリスとガイア仮説
●HotWired Japan -- ECO WIRE --
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